PBコラム1 裁判はどこでやる?
離婚問題について興味を持たれた方への、ちょっとしたお役立ちコラムを書いていきます。
まず第1回は、「離婚や慰謝料の裁判は、どこでやるのか?」というテーマです。
みなさん、裁判所って行ったことありますか?私は週に5回以上行くこともあります。一日に各地の裁判所を「ハシゴ」することも珍しくありません。
離婚や慰謝料の問題は、交渉で解決することもありますが、やはり紛争がこじれれば最終的には「裁判」になります。
裁判を行うのが裁判所ですが、実は裁判所は、東京都内に複数あります。
離婚問題は家庭裁判所でおこなう!
裁判所には種類がありますが、基本的には、離婚や相続というような家庭内の問題は、「家庭裁判所」で取り扱われます。このウェブサイトの読者の方は家庭に問題のある方が多いはずなので、今回はこの家裁について情報提供していきます。
離婚調停なら、相手の住んでいる地域に近い裁判所
さて、家庭裁判所は、東京都内だと霞が関と立川にあります。私も週に5日裁判所に行くうちの3日から4日は、霞が関か立川の、どちらかに行くことが多いです。
では、実際に調停を起こすとか、相手から調停を起こされるとなったとき、私たちはどちらの裁判所に行けばいいのでしょうか?
正解は・・・調停を起こされる方の住所が23区内なら霞が関、多摩なら立川,となります。
つまり、夫婦二人とも府中市に住んでいるという場合なら、離婚調停は立川の家庭裁判所に申し立てをしますが、別居中の相手が23区(中野や新宿など)に住んでいるという場合には、霞が関の裁判所で調停が行われることになります。
基本的に、どの地域の裁判所に申し立てをするかというのは、法律でルールが決まっているのですが、家庭問題の調停に関しては申し立てを「受けるほう」が対応しやすいよう、相手方の住所地に近い裁判所に申し立てをするのが原則とされています。
そのため、例えば東京に住んでいる夫が、実家にかえって別居中の妻に離婚を求めて調停を起こすという場合、その妻の実家がどこにあるかで、調停を起こす裁判所が変わってきます。かつてご支援差し上げた事例では、別居中の妻が静岡にいたため、調停のたびに新幹線で東京から静岡まで出頭することになったという事例もありました。
ただ、実はこの決まりには少し変則的なところもあって、調停は相手の住所地で申し立てをしますが、裁判なら自分の住所地に申し立てができるというルールにもなっています。
そのため、離婚の調停と、離婚の裁判を取り扱う裁判所が異なるという現象も、普通に出て来ます。
先の東京と静岡の例では、調停は静岡で行いましたが、裁判は霞が関で行いました。紛争の長期化が予想される事件であれば特に、何度も裁判所へ出頭しなければなりませんから、裁判への対応の手間や交通費、弁護士の日当が変わってくるため、「どこの裁判所で事件を申し立てることができるか」というのは、非常に重要な問題になってきます。
もちろん、相手が埼玉に住んでいれば浦和や川越など、埼玉県内で調停を行うことになります。
なぜか私は、登録してから埼玉県の各裁判所との縁があり、大雪をかき分けて飯能の裁判所に出頭するとか、炎天下に浦和の裁判所に向かうなどした思い出が、数多くあります。
みなさん、もし調停や裁判を起こす際には、実際問題どこの裁判所に出向くことになるのか、確認をしてから手続きを取りましょう。気軽に申し立てをしてみたら案外大変だったということもあります。
(ただ、府中ピース・ベル法律事務所からですと、実は霞が関も立川も川越も浦和も、そんなに移動時間が大きく変わるわけではないのだなと、最近気づきました。もちろん立川が一番近いのですが、弁護士の手間的にはあまりどこも変わらないので、今では埼玉・神奈川での案件も、普通にご支援を差し上げています。。。)
裁判所へのアクセスは?
実際、各地の裁判所にはどうアクセスすればいいのでしょうか?
すべてを網羅できませんが、私が良く出頭している裁判所までのルートの例を、いくつか書き出してみます。府中市内にお住まいの方で私と同じルートで裁判所に行ってみるという方は、ご参考になさってください。もしかしたら、大きな訴訟記録を抱えた当事務所の弁護士を見つけることができるかもしれません。
1 東京家庭裁判所
事件の相手方が23区内に住んでいるようなときに、ここで調停をやったりします。日本の司法の中枢。ザ・裁判所という感じですが、イメージよりは事務的な作りです。裁判所というと、レンガ造りで薄暗い、そして法廷では木槌を叩きながら「静粛に」と叫んでいるようなイメージがありましたが・・・
・京王線府中駅→新宿(特急で20分)
・新宿→霞が関駅(丸の内線で15分)
・霞が関駅B1出口から、階段を上って地上に出て、裁判所まで徒歩1分。入場時に手荷物検査があったり、エレベーターが遅くて朝とか昼休み明けには少し込み合うことがあるので、時間に余裕を持って出かけましょう。
2 東京家庭裁判所立川支部
都内ですが、多摩地区に住んでいる人たちの家事事件はここで行います。
立川支部と言いながら、立川駅からは結構な距離があるので、注意が必要です。
・京王線府中駅→高幡不動(特急で10分)
・高幡不動→高松(立川北駅のもう一つ先。モノレールで15分)
・高松駅を降りて、駐車場や空き地を見ながら歩くこと7、8分。裁判所につくとエレベーターで7回か8階に行き、指定された待合室で座って待ちます。待合室は広いのですが、ずらっと並んだ長椅子にぎゅうぎゅうになるほど人が集められていて、「この人たちはみんな離婚や相続の問題で裁判所に呼び出されてるんだなあ」と思うと、なんだか圧巻です。夏は駅から裁判所まで日影がないので、熱中症に気を付けましょう。天気のいい日は、モノレールから富士山が見えます。
3 さいたま家庭裁判所
「さいたま」と冠しています。「埼玉」ではないようです。電車移動の際には浦和を目指して進んでいきます。
・府中本町から武蔵浦和まで、JR武蔵野線で移動。大体30分くらいでつけるはずなのですが、武蔵野線は強風で遅延することが多いので、天候が悪化しないよう、テルテル坊主を作るのを忘れずに。
・電車が止まったら、動いているほかの路線の駅までタクシーで移動・・・というのは都民の発想で、武蔵野線の途中で電車が止まったときに、動いているであろう別路線の駅までタクシー移動とか試みると、余計時間がかかったりするという罠にはまることがあります。私は仕方ないので,「南無三」と唱えながら、裁判所に電話をかけて遅刻を詫びることにしています。
・裁判所の公式HPでは、浦和駅からのバスや、中浦和からの徒歩のルートが紹介されていますが、私はいつも武蔵浦和から歩きます。案外どの駅からでも実際の時間は変わらない印象ですから、乗換えの便利なところでどうぞ。ただ、武蔵浦和駅が、比較的ランチ事情に恵まれている印象です。
・駅から裁判所まで、これまたほとんど日影がないうえに15分以上歩くことになるので、大変な時は無理せずに駅から裁判所までタクシーを使いましょう。1000円もかかりません。
4 さいたま家裁 川越支部
・府中本町から北朝霞まで、20分
・乗り換えて朝霞台から東武東上線で川越駅、または川越市駅で下車。ここまで50分程度見ておきます。
・タイミングが良ければバスで裁判所まで15分。だめならタクシーで10分。元気が良くて気候が良ければ、川越市駅から歩いて25分。
・駅から遠い裁判所の筆頭格。時間がない弁護士としては、なんども通うのは大変です。小江戸川越観光のつもりでいきましょう。
・行はよいのですが、裁判所から帰りの道が大変。バスが20分に1本くらいしかないので、もうこれは運任せです。
・・・もちろん、当事務所ではここに記載したエリア以外の案件も取り扱っておりますが、長くなってきましたので、今回はこのあたりで。
平山の気が向けば、PB通信ということで、今後もこの手の情報発信をしていきますので、ご期待ください。
2017.6.22 平山諒
※本稿は、あくまでも当事務所弁護士の個人的な見解で述べています。実際の裁判管轄や裁判所までのルートについては、読者の皆様の自己責任で確認の上、ご対応をお願いいたします。本稿では弁護士の体験と個人的な感想をもとに記載していますが、いかなる意味においてもその記載の正確性を保証するものではなく、またこれによって読者の皆様が受けたいかなる損害も補償するものではありません。
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ご自身のケースに当てはめて、解決事例をご確認ください。その他、職業別の離婚の特徴についてまとめてありますので、ご覧ください。