裁判離婚

im01_240離婚をすると一口に言っても,そのルートは,大きく分けて2つあります。
両者の合意でする離婚(協議離婚,調停離婚)と,裁判所の判決によってする裁判離婚です。
つまり,相手との話し合いで離婚届の提出に至らない,離婚の際の条件(養育費とか,財産分与とか)で折り合えないなんて場合には,自分の意思で裁判を起こして離婚判決を勝ち取る必要があります。
大まかな流れを書くと,離婚の裁判の準備には,こういった準備が必要です。
① 離婚調停を起こす
② 調停が不成立になる
③ 不成立調書を取得する
④ 訴状を書き上げる
⑤ どこの裁判所に出すのがいいかを見極める
⑥ 郵券,印紙,証拠と一緒に裁判所に提出する
⑦ 期日に出頭する
⑧ 判決を勝ち取ったら,確定証明を取得して,役所に提出する

まず①②調停を起こすところからが裁判のスタートです。
事前にどんなに話し合いをしていても,あなたに話し合うつもりすらなくても,まずは調停を起こしておかないと裁判に進めません。これを調停前置主義といい,家事事件手続法で定められているルートです。
案外,当事者同士の話し合いで離婚の条件に折り合わなかった場合でも,裁判所の調停で調停委員の人が関与することで話し合いの糸口が見つかることもありますので,それはそれで,早めに離婚に折り合えれば結構なことですが。

それでもやはり離婚の合意に至らない場合には,③調停が不成立になったという書類を裁判所に発行してもらい,④訴状と⑥印紙などの必要書類を,⑤管轄裁判所に提出します。
最近は訴状の書き方の例も,裁判所のホームページで紹介されていたりしますし,必要な印紙の額も一覧表が公開されていたりしますから,これを参考にして書類を準備するとよいでしょう。
(裁判所URLを転載)

あとは,⑦期日に裁判所に出頭して,必要な主張・立証を行います。立証目的は,法律上の離婚原因(民法770条)が存在すること,です。

離婚事由とは

法律上,相手との合意によらない離婚原因は法定されていて,これ以外の場合ではどんなに離婚したいと思っても,離婚は認められないという仕組みになっています。
その離婚原因というのは,以下の5つになります。

① 不貞行為

つまり,浮気のことです。(浮気の意味については,浮気とは?の項目も参照してみてください)若い男とお茶を飲みに行っただけとか,若い娘と映画を見ただけというのでは不貞に当りませんが,体の関係を持った,自分の意思で性的な関係になったという場合には,ここでいう不貞に当ります。

② 悪意の遺棄

「遺棄」なんて言うと,まるで山奥にでも捨てられるようなイメージですが,ここでいう遺棄とは,夫婦なのに同居義務を尽くさずに家を出て行くとか,相手を追い出すといった場合のことです。(・・・まあ,もし車で連れていかれて山で捨てられるなんて言う無茶な出来事があれば,十分離婚が認められるべき事案だと思いますが)
正当な理由があって同居を拒む,という場合には,悪意の遺棄には当たりません。

③ 3年以上の生死不明

生存も死亡も証明できないような状態が3年も続けば,さすがに離婚もやむを得ないだろうということでの離婚事由です。どこで何してるかもわからないので,裁判をする時も,公示送達と言って行方不明の人に対する手続きをとることになります。
どこにいるのかもわからないが,長い放浪の旅に出ているなんていう状況のイメージは,どことなくロマンがあっていいような気もしますが,3年も便りもよこさずに放っておかれたほうはたまったものではありませんよね。
なお,3年の放浪の旅の途中に絵葉書でも送ってきて,とりあえず生きていることがはっきりしている場合には,③3年以上の生死不明には当たりませんが,②悪意の遺棄や⑤その他の重大な事由に該当しえます。奥さんを放って長い旅に出ておきながら,絵葉書だけ送っておいたって,ダメなものはダメです。離婚が嫌なら,はやく帰って同居を再開しましょう。

④ 回復の見込みのない強度の精神病

夫婦なので,基本的には協力扶助義務がありますから,相手が病気になったというだけで離婚するというのは認められないのですが,回復の見込みがない強度な精神病という重大な事案では,相手の負担も大きくなります。このような,能力を超えての扶助義務を強制させることはできません。そこで,離婚の事由の一つとして挙げられた規定です。
実際の裁判では,単に病気の重さや症状だけではなく,描写の今後の療養,生活などについての具体的方策を講じてあるかどうか,といった事情を見て,ある程度のめどが立たないと離婚を認めないと判断するようです。病気のまま放っておくというのも確かに不人情な話ではありますが,いつまでも回復しない夫婦関係を維持させるわけにもいかない,なんとも微妙で難しい問題だとは思います。(結婚式の教会では,「健やかなる時も病める時も共に歩む」と神父に誓ってから,指輪の交換と誓いのキッスをするのですが,モノには限度があるということなんでしょうかね)

⑤ その他,婚姻を継続しがたい重大な事由

こう書いてあると,上に書いた4つの例示はなんだったんだという感じですが,つまり婚姻関係が破たんして,夫婦関係を継続しがたいかどうかで,離婚の有無は決まります。そして実務的には,ほとんどの離婚訴訟では,この「その他」の要件に当たるとする主張がされます。
具体例としてよく言われるのは,DVや浪費,家庭を大事にしないとか,愛情の喪失,性交不能や性交拒否なんていうのもこのカテゴリに入ります。
おおざっぱにいえば,3年くらいの別居が続いていて,もう再構築するつもりがないというような状態であれば,わりと問題なく,この要件に当てはまると認定されるケースが多いようです。もう少し別居期間が短くても,諸々の事情も合わせ技で離婚を認める,という事案もありますが,なぜ「もう再構築はあり得ない」と言えるのか,どういった事情が背景にあるのかを,裁判所に認定させる作業がミソになります。
これらの離婚事由の存在を証明できれば,裁判で,晴れて離婚が認められるということになります。
 どういう方針を立てればいいか,どんな証拠を集めればいいか,戦略を練るのは大変そうですね。
実際問題,離婚の裁判をするというのは,時間も手間もかかります。
なかなか,自分で訴状を書いて裁判を起こすとか,戸籍を集めたりするなんて経験をした事のある方は少ないでしょう。
しかも,かつて愛し合って運命を共にしようとした相手と,泥沼の離婚裁判になるとなれば,どうやったって苦しい思いをするのは不可避です。
それでも,新しい人生を歩みだすために,あえて裁判という手続きをとることになるのですが・・・熱い思いと同時に,裁判所の手続きには冷静な頭で臨む必要があります。
離婚を希望する事情は,いろいろあると思います。これまでの夫婦生活でたまった不満や,相手への思いなど,言いたいことはたくさんあるでしょう。
しかし,なんでもかんでも,感情のまま書き綴っても,裁判は勝てません。離婚のために必要な要点を押さえて,主張を裏付ける証拠を,過不足なく準備するのがポイントです。
離婚裁判をお考えの方は,ぜひ当事務所にご相談ください。
どういった準備が必要なのか,どんな証拠をそろえればいいのかなど,法律的なアドバイスをすることができます。
できるだけ早い段階でご相談いただいたほうが,ベストを尽くしやすくなるので,少しでも離婚をお考えであれば,すぐに当事務所にお電話・メールでご相談の予約をお取りください!初回相談は無料です!


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