慰謝料を請求されたら
不貞行為を原因とする慰謝料請求を受けた場合,どう対応すればいいのでしょうか。
不倫がばれた!ということで,心理的な引け目もあるし,弁護士名での強い文章が届いて,どうしたらいいかわからない,という方が多くいらっしゃいますので,対応方法のコツをレクチャーします。
1 請求の内容を確認する
まずは,相手方の要求の中身を冷静に確認します。 典型的な例として挙げられるのは,弁護士名義の請求書という形で,「あなたの行った不貞行為によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料を支払えという」として,1週間から10日程度の期間のうちに300万円から500万円の振り込みを求めるというものです。
こういった内容の書面が,内容証明郵便で届くため,受け取った側としては非常に動揺しますが,言われるままの振り込みをする前に,その記載内容をよく確認してみましょう。
2 相手の名前や,不貞行為の事実について,心当たりはありますか?
まず確認したいのは,金銭請求の原因である「不貞の事実」の記載が,事実かどうかという事です。
不貞行為による慰謝料という紛争での「不貞」とは,配偶者のある者との性的関係・肉体関係を持つことを言います。 逆に言うと,単にお茶を飲みに行っただけであるとか,メールや電話で話をしただけでは,慰謝料を支払うような不法行為になりません。 相手が事実関係を誤解しており,不当な要求に出てきている可能性もありますから,まずは相手方の言い分が正しいのかどうかを確認することです。
3 相手は,どこまで事実を把握しているか。証拠はあるのか。
弁護士目線で気にするのは,相手がどのくらいの証拠や情報を持っているかという事です。
仮にあなたが不貞行為を行ったとして,それについての情報を,どのくらい相手が持っているのか,考えます。 内容証明の記載内容に,「●月●日の何時ころにあなたと通知人の妻が新宿区歌舞伎町のラブホテル○○で関係を持った」とか,「何月何日から何月頃まで,港区所在のあなたのマンションで複数回に及び関係を持った」など,具体的な記載がある場合には,たとえば探偵を雇って証拠写真でも持っているとか,または浮気をした配偶者から「自白」を引き出した,メールのやり取りなどを見ている,等といった事情が推測できます。相手の手元に証拠がある場合には,この後の交渉において,できるだけ穏便な解決を図る方向で考えるのが良いでしょう。 逆に,相手に何も具体的な情報が無いとか,あるいは複数回の不貞行為のうち一部しか把握していない等の場合には,必ずしも相手の手元に確たる証拠もないのではないかという推測もできます。この場合,相手も訴訟などの法的手続きに頼ってまで高額の慰謝料をとれるとは見込んでいないということもありますので,この後の交渉の場面でも,いくらか工夫の余地があります。
4 請求金額はいくらか
不貞の慰謝料というものは,「1回につきいくら」というような明確な算定方法はありません。精神的に受けた苦痛に対する慰謝という性質上,数字としては流動的であいまいな概念でもあります。
そのため,請求する慰謝料というのにも,明確な算定方法はなく,相場として300万円から500万円という数字が,よく見受けられるというものです。しかし,実際に裁判になって,不貞についての慰謝料がどのくらい認められるかというと,500万円等の高額な金額が認容される事例は,少数です。不貞行為の態様が非常に悪質であるとか,継続した不貞行為によって相手方の夫婦関係が破壊され離婚に至るなどの特別の事情が無ければ,もう少し低額の判決が出されるでしょう。
また,請求するだけなら自由だからと,1000万円以上の請求をしてくる事案なども,まれにあるようです。不貞関係を持ったのが事実であれば,たしかに一定の落ち度はありますが,だからと言って法外な高額要求に応じる義務はありません。逆に,もしあなたが数百億円以上の資産を持つ大金持ちであり,500万円程度のはした金なら払って手打ちにしても良い,というのであれば,相手の請求額をそのまま払うという方法もあるかもしれません。
5 交渉に臨む
相手の請求額を支払わないという決断をする場合,取るべき方法は2つあります。一つは,なにもリアクションをせずに放っておくという方法です。
この場合,相手はあなたに対して訴訟を提起するとか,給与債権の差し押さえなどといった方法を検討してくるでしょう。公開の法廷で闘うことになりますが,相手方に詳しい情報や確たる証拠がなさそうであるとか,もし敗訴しても差し押さえられるような財産もないというような場合には,あえて放っておくというやり方もあるかもしれません。
もう一つは,交渉を行うという方法です。たとえば,内容証明に書いてある不貞の内容が事実と異なり,実際には肉体関係を持っていないとか,肉体関係は持ってしまったが相手に配偶者がいると知らなかった,既に離婚状態だと思っていたなど,相手の請求を否定するような根拠がある場合には,慰謝料を支払わないという当方の立場に正当性があるのだという事を根拠にして交渉に臨みます。あまり自分の手持ちの情報を出さずに,しかし相手の言い分は正しくないのだという指摘をするには,交渉のアヤというものもありますが,いずれにせよ真実と違うことを認めて謝罪するというような方法は正しくありません。
こうすることによって,相手は「勝ち目がない」と思って請求をあきらめることもあります。
6 文書で打ち返す 相手が内容証明で送ってきているときに,こちらから電話を掛けるとか会いに行くというのは,あまり行うべきではありません。
電話や会話のやり取りというのは,その場の話し言葉として行う話なので,必ずしも正確ではありません。また,「言った,言わない」のトラブルになりますし,なにより当事者が直接話をするとなると,つい感情的になりがちです。頭に血がのぼった状態で専門家の弁護士と交渉をして,交渉が有利に進むことは少ないでしょう。 そのため,当方の意見を伝える際には,やはり手紙で送るというほうが,不要なトラブルは防げるのでお勧めです。 双方に弁護士がついている場合には,弁護士同士で直接面談をすることもあります。代理人弁護士同士の場合,直接会って話をした方が協議をまとめやすい事があるためです。しかし,本人対弁護士という場合には,やはりおススメできません。
7 弁護士に相談する
これまで書いた内容は,あくまでも自分だけで対応するときの方法ですが,やはり早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
これまで述べてきた,「慰謝料額が妥当なのか」「相手にどのような情報があるのか」「この後,どういった手続きになるのか」いった内容は,やはり法律の専門家である弁護士からアドバイスを受けるほうが,正しい情報を得やすいでしょう。また,弁護士同士の交渉になる事で,訴訟になる前の段階で示談という可能性もあります。場合によっては相手に請求をあきらめさせて,一円も払わずに解決という事例もあります。
あなたの権利を守るために,弁護士に相談してください。当事務所は離婚や慰謝料について豊富な事件処理経験を有しており,あなたの権利を守るために最善を尽くすことができます。また,弁護士は守秘義務を負っていますから,あなたが相談にいらしたことは,相手方や自分の家族も含め,秘密は厳守されます。過去の過ちを非難したり悔いるばかりでなく,今後どうやって前向きに過ごしていくか,という観点でご相談に乗るのが当事務所のモットーです。初回相談は無料ですから,ぜひ,今すぐに当事務所にご相談ください。
不倫・不貞・浮気でお悩みの方、慰謝料請求という方法があります。
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取り組む上での費用
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