親権者について

im01_240離婚の際に大きな争いとなる一つが,親権です。
未成年者は,父母の共同親権のもとで監護されるのが原則ですが,父母の離婚後は,どちらかの単独親権になります(民法818条)。

子供がかわいいと思うのは人情ですから,どうしても,離婚しても子供だけは自分で引き取りたい。となると,離婚の際に親権をどちらが取得するかが争点となり,離婚の話し合いがスムーズに進まないという事例もあります。離婚の話全般にも言えますが,とくに子供の話となると,どうしても感情が先に立ってしまいがちです。
そのため,親権者がどのよう決定されるのか,法的な手続きを知っておかないと,建設的な離婚の協議も進められず,話が泥沼化してしまう危険があるのです。

では,親権はどのようにして決まるのでしょうか。法律ではどうなっているのでしょうか。

・協議離婚の際の仕組み

法律では,「父母が離婚したときは,協議により父母の一方を親権者に定めなければならない」とし(民法818条1項),協議離婚を成立する際に必ず,親権者についても協議で定めないとならないとされています。なので,離婚と子供の親権の話は,セットで解決しないとなりません。とりあえず先に離婚だけしておいて,親権は後から決める,という「棚上げ」のような方法は,認められません。

・協議がまとまらない場合

協議で親権が定まらない場合には,家庭裁判所が審判で定めることになります。実務的には,離婚調停の手続きの中で,親権について互いに主張をし,合意に至らなければ審判に移行します。そして,どちらが親権者にふさわしいかを裁判所が定める,という流れで話が進みます。
問題は,どのような基準で,父母いずれを親権者と認定するかという判断要素です。夫婦のありようは十人十色ですから,どちらが親権者にふさわしいかというのはケースバイケースとしか言いようはありませんが,裁判所がどのようなポイントを重視して親権者を定めるかを知ることで,事件の見通しを立てることも可能になります。
家裁実務的に。親権者の決定基準だと言われているのは,以下のようなポイントです。

・子の監護の実績

いままで全く子供の世話や育児をしてこなかった親よりも,親身になって子を育ててきた親と一緒にいるのが適切だという考え方です。この心理的な結びつき,情緒性の環境を尊重しようとするものだと説明されます。

・子の意思の尊重

まったく話もできない乳幼児であればともかく,ある程度大きくなった子供であれば,ある程度,自分の考えをもち,表現することができます。10歳前後位から子供の意思が尊重され始めるとされており,どちらの親と一緒にいたいかという意思が重視されることがあります。

・面接交渉の寛容性

離婚後であっても,父は父,母は母であり,子供からみればどちらも自分の親です。
そのため,親権を取得できなかった方の親が,子供と定期的に交流を図ることを面接交渉といいますが,これに許容できるか,それとも拒絶の意思が強く,子に相手の存在を肯定的に伝えられないなどの事情があるかなど,面接交渉を行えるかどうかというのも要素のひとつです。
子供の成長や健全な発達などを考えれば,離婚後であっても,両方の親と会う事というのは,意義があることです。

・奪取の違法性

子供をむりやり連れ去ったとか,暴力をふるって奪い取ったなどといった事情は,親権や監護権の判断の際に消極的な事情となるでしょう。

・経済的事情や離婚原因は?

イメージでは,収入のある方が親権者にふさわしいのだとか,浮気をしたのだから子供も大事にできないなどというような主張もあり得そうですが,これらは直接は重視されないとされています。良く考えてみると,現金収入の多寡や,離婚の問題と子供にとっての親権の問題は,かならずしも直結しませんね。
・・・このように,様々な事情から親権者が定められるのですが,すべて,視点には共通点があります。
それは,「子の福祉」という観点です。
両親はいずれも,子供にとっては親です。そのうち,どちらについて行かせるのかという判断は,まさに,子の幸せのため,今後,この子供が健全に成長するためにはどうすればいいかという観点で考えなくてはならない問題です。
なので,審判手続きとなって裁判所が親権者を定めるとなった段でも,裁判所に対して主張すべきなのは,相手の悪性ではなく,「自分が親権者となったほうが,子の福祉の観点からどれだけ充実しているか」という点だと思われます。
特殊な事情が無ければ,やはり子供を実際に養育,監護してきた方が今後も親権者として子供と共に過ごすのが望ましいのでしょう。

なお,母性優先の原則という考え方があります。

子供が幼い時期など特にですが,父親よりも母親の方が育児に優れている,親権者を定めるにあっても母親の方が優先されるべきだという考え方です。
実際問題,母が親権者となる割合は,全体の8割ほどあると言われています。また,経験上,こどものオムツを替えたり身の回りの世話をしたりというのは,母親の方が手馴れているケースは多いでしょう。特に授乳などは父親には生物学的に不可能ですし・・・
ただ,現代では父母の養育における役割は変化してきており,必ずしも,母親だからという理由だけで親権を優先するという考えは後退してきているとも言われています。ですが,実務的には,母性優先の考え方は根強く残っているのも事実であり,これまで養育をしてこなかった父親が急に子供を引き取りたいと言っても,なかなか認められがたいのも事実です。

このような裁判所の基準を知らないと,親権について争いがあったとき,どのような点を主張するのがベターか判断できず,結局子供を手放さざるを得なくなるという事態が起こってしまいます。
また,無理筋の主張にこだわってしまうことで,離婚の時期が遅れる,相手との感情的な諍いが長引くことで,結局,自分にとっても子供にとっても,新しい生活を歩みだすのが遅れてしまいます。
このような不幸を回避するには,まず弁護士に相談することです。
新件取得にこだわるのか,面接交渉という方法で子供と関わる道を選ぶのかなど,いくつかの選択肢や考え方を提案いたします。それぞれの方法のメリットやデメリットを知ることで,冷静な頭で,今後の生活や子供の事,相手との今後のかかわりについて見直し,人生のプランを作ることができます。
また,調停や審判になった際も,事前に弁護士からアドバイスを受けることで,適切な主張を行い,権利実現を図ることができます。
そのためにも,親権で争いになりそうだと思った場合は,すぐにでも弁護士にご相談ください。

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