財産分与

im01_240離婚の際に気になるのは,どうしてもお金のことです。
結婚してから離婚するまでの間の夫婦の財産を,どう清算するのでしょうか。
「専業主婦だったから,離婚したら収入がなくなってしまう。これまでの貯金はどうなるのかしら」
「原因は妻なんだ,こちらから金を払ってやる必要なんてあるのか」

新しい生活を始めるにも,これまでの関係の清算のためにも,お金のことはよく考えないといけません。
離婚の際に,夫婦の一方から金銭支払いをすることを,離婚給付と呼びます。
大きくわけると,①婚姻中の夫婦財産の清算②離婚後の扶養③損害賠償,といった観点が,離婚給付の要素とされてきました。
このうち,いわゆる財産分与というのは,①夫婦財産の清算の枠組みで考えるものです。では,実際には,どのように清算を行うのでしょうか。

・財産分与の対象は?

財産分与の金額を決めるためには,まずは分与の対象となる財産が何なのか,その範囲を確定しなければなりません。
これは,原則として,婚姻後に夫婦の協力によって取得した財産すべて,とされています。
夫婦で住むために結婚後に買った家,将来のために積み立てていた貯金や学資保険などが,よく問題となります。

・妻が専業主婦で,夫が得ていた給料や貯蓄は

これも,分与対象です。
「会社で汗水たらして働いていたのは俺なんだ,離婚されるうえに,働いて稼いできた給料の蓄えを妻にやるなんて,納得できない」
・・・とおっしゃる方もいるかもしれませんが,夫が会社ではたらいている間,家事をしたり子供の面倒を見たりしていたのは奥さんですから,やはり会社の給料も,夫婦二人で協力して取得した財産,と考えます。すでに生活費で消費している分を遡って,夫から妻へ支払うということはありませんが,貯金や株式,ゴルフ会員権などに形を変えて残っている財産については,分与対象として位置づけることになります。

・将来の退職金は

熟年離婚という言葉がありますが,長年連れ添った関係だと,夫も高齢,もうすぐ退職する・・・あ!あと少しで退職金が出るんだった!というケース。退職金の支払いがあれば,これも財産分与対象になりますよね。こういう場合,退職金の出る前に離婚するのは得策ではないのでしょうか。夫の立場でいえば,どうせ離婚するなら退職前のほうがいいのでしょうか。
これは,少し複雑な問題もありますが,基本的には,どちらが得ということはないと思っています。
すなわち,裁判例では,近い将来に受領できる可能性の高い退職金について,財産分与の対象となることを認めています。
退職金は,多くの企業の場合,労働者の基本給や役職,企業への功績などや,勤務年数をもとにして定められる乗数を乗じて,支払金額が定まります。しかし,将来の話ですから,退職や倒産,事故や病気など,本当に支払いがあるかどうかは流動的であるともいえます。
こういった事情から,裁判例では,将来の退職金の額を財産分与の一時上に取り込むことや,婚姻期間に応じて退職金の額を支払うよう命じるなどしているケースがあります。
なので,離婚を夫の退職まで待たないと,退職金の見込みが丸々損をする,というようなことは,あまりありません。
ただし,協議離婚の段階で,何年も先の退職金をアテにした財産分与に応じてくれる夫というのは,あまりいらっしゃいません。協議でまとまらなければ裁判にするまでなのですが,なんといっても時間がかかるのと,裁判になったからと言って必ず期待するほどの額が得られるとも限らないというリスクがあります。
なにより,離婚したい,新しい生活を始めたいという気持ちがあるのに,高々なん百万円くらいのお金のために,わざわざ・・・という気になることもあります(まあ,こればかりは考え方が人それぞれですが・・・お金も大事ですけど,同じくらい,時間も大事というのが,私の考え方です)
どちらにしても,法律的な理屈を知ったうえで,どのくらい分与するのが適切なのかという目安にするのがよいでしょう。

・特有財産とは

離婚すると,それまでに築いた財産を生産する必要があることがわかりました。
では,結婚前から持っていた財産も,半分持っていかれてしまうのでしょうか。
結論は,ノーです。
独身時代の貯金がそのまま残っている場合や,たとえば夫の父親が亡くなった際に相続によって取得した財産といったものについては,分与対象となりません。なぜなら,これらは夫婦の協力によって築いた財産ではないからです。
そのため,仮に結婚前の貯金が1億円ほどあって,結婚後は特に貯金が増えも減りもしなかったというようなケースでは,この1億円はそもそも財産分与の対象にはなりません。

このような,財産分与の理屈や考え方を知っておくことは,離婚の際に自分の利益を守るための手掛かりとなります。
別れ話の際に財産分与の話が出てきたとき,その金額が法律上相当なのか,明らかに高額なのかによって,離婚の協議を続けるか法的手続きをとるべきなのかといった手続き選択に差が出てくるでしょう。また,本来であれば請求できた権利があるのにこれに気付かずに,相手の言いなりになって離婚させられてしまうというのも,あまりに悲しいでしょう。
自分にどのような権利があるのか知ることで,新しい生活に向けて正しく動き出せることができます。
当事務所では,離婚の条件としてどのような財産分与を行うのが適切か,ご提案いたします。初回相談は無料ですから,ぜひご相談ください。

・財産分与の方法とは

では,具体的には,どうやって財産分与の金額を決めていくのでしょうか。
これは,まずは離婚の話と同時進行で,協議によって決めることを目指すというのが一般的です。
夫と妻で,結婚中にそれぞれ貯金がどのくらい増えた,家はどのくらいの価値があるから,公平にするにはどちらがどのくらい相手に渡して・・・という具合で納得できれば,もっとも早い解決でしょう。
協議が整わない場合は,調停,裁判といった法的な手続きの中で請求していきます。
相手が貯金通帳を出さないとか,このページに書いてある計算方法に従った公平な計算に納得してくれないなど,当事者の協議で解決が難しい場合には,第三者に間に入ってもらうしかありません。
特に裁判になれば,通帳や給与明細などの資料を提出するよう裁判所から促されるとか,最終的には銀行や会社に対する裁判所からの問い合わせ(調査嘱託)などによって,相手が隠していた資料を開示させ,金額を決めていくことにもなります。

また,とりあえず先に離婚してしまったのだけど,離婚後に,財産分与の請求をするという方法も取れます。
ただし,財産分与の請求は,離婚後2年以内に請求しないといけないということになっています。2年を超えると,請求権自体がなくなってしまいますから,心当たりの方は今すぐに当事務所に連絡をください。

このように,財産分与には,いろいろと考慮する事項があり,意外に複雑な仕組みになっています。
そのうえ,離婚ということ自体でお互いに感情的になっているところへ,お金の話が絡んできますから,いきおい,冷静な話し合いが難しくなりがちという分野でもあります。
ただ,冷静な話ができないと,結局は離婚が先延ばしになるとか,本来得られるはずの財産分与が得られなくなるなど,良いことはありません。
そこで,法律の専門家である弁護士に相談することで,感情的な対立から,法律的な争点を洗い出して,どのような手順で請求をすれば財産分与の問題を解決できるのか,知ることができます。
また,当事者同士では話ができない,もう顔も見たくないというような場合も,弁護士が介入することで,交渉の窓口を委任することができますし,調停や裁判にも同席できますから,一人で離婚を目指すよりずっと楽に手続きを進めることができます。
財産分与にお悩みの方は,ぜひ当事務所にご相談ください。
当事務所では,初回相談は無料としています。また,相談したから事件を委任しなければいけないということもありません。お話を伺い,相談者様の新しい生活にとって最もハッピーになれる方法を目指して,プランをご提案いたします。


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