中高年の離婚

im01_240熟年離婚という言葉が流行りだして久しいですが,長年連れ添った中高年カップルであっても,別の道を歩む決心をするという事態があり得ます。
また,若いころから既に別居していて,別居しているうちに中高年になったというケースもあるでしょう。
このような中高年の離婚の場合,何に気をつけなければならないのでしょうか。

・子供との関係について

未成年の子供がいる夫婦では,まず今後の親権者がどちらになるのかを定める必要があります。未成年者の子供がいる場合,協議離婚しようとするときには,かならず親権者をどちらが引き受けるか定めねばならず,だれも親権者にならない,どちらも親権者になるという選択肢は法律上認められません。
子供に対する愛情が絡んでくる問題なので,親権で揉めて,離婚の話が前に進まないという事はありがちです。
もちろん,子供が既に成人していれば問題ありませんが,いずれにしても,今後の家族の在り方を考える必要はありそうです。

・お金のことについて

通常のケースでもそうですが,離婚するに当たってはお金のことが争点になりがちです。
つまり,①離婚の責任のある方から慰謝料を払ってもらうとか,②財産分与をする,という話があり,その金額,分け方について決めなければなりません。

①慰謝料については,みなさんよくご存じのように,浮気をしたとかDVがあったなど,有責配偶者から相手に対して支払われるものです。この金額は,どのようなケースではいくら,という計算式は存在せず,ケースバイケースではありますが,だいたいの感覚でいえば,100万円から200万円前後というような水準で解決することが多いように思います。

②財産分与については,別の解説しているページにも詳しく書いていますが,基本的には同居中にお互いの協力によって築き上げた財産を,半分に分けるという考え方です。分与対象となる財産の範囲やなどで争いになることもありますが・・・中高年の夫婦の場合は,例えば家や自動車,株式といった高額な財産を持っているケースがあり,この分け方が問題となる事があるでしょう。分けるといっても,家や車を物理的に半分にして,「右座席を夫が,左座席を妻が」と分けるわけにはいきませんから,実際にはどちらかがこの財産を取得して,その価値の半分を現金で渡す,といった調整などが考えられます。

また,中高年特有の問題としては,近い将来に夫が手にするだろう退職金をどう考えるか,という問題もあります。これが財産分与の対象と評価すべきかどうかで,金額は大きく変わってきますから,協議の際には慎重に考えないといけません。

そしてなにより,お互いに老後が近いという状態ですから,③年金分割の手続きを忘れてはいけません。年金分割とは,婚姻中に夫が支払った厚生年金を分割して妻が受給できるという制度であり,通常,年金の支払額を0.5に分けて計算します。が,離婚後2年で権利が消滅時効になってしまいますので,通常は離婚と同時に話を進めるべきでしょう。ただし,なんだか難しそうな話ですし,「将来の年金額が半分になるのか!そんな話には乗れない!」と,年金分割に拒絶反応を示す人もいます(まあ実はこれは誤解で,詳しくは日本年金機構のホームページなどで解説されていますが・・・https://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=3241どちらにしても難しい話で,読むだけでウンザリですが)。

・離婚協議を進めるにあたって注意事項

離婚の流れは,基本的にはまず協議離婚を目指しますが,話し合いでお互い納得して離婚届を提出できない場合には,調停,裁判といった法的手続きを取ることを視野に入れておく必要があります。すなわち,相手が離婚したくないとなったときには,裁判をやれば勝てるのかどうか,すなわちどんな離婚原因が存在するのか(相手の浮気,性格の不一致など)を,事前に確認しておく必要があります。いずれにしても長年連れ添った相手との別れを選ぶのですから,その原因がなんなのか,なぜ自分は別れたい(逆の立場だと別れたくない)と決心したのかを,冷静に振り返る作業が必要でしょう。
その前提で,子供の事,お金の事,年金分割の手続きの事といった各種事項を,要点を押さえて話をしておく必要があります。

・当事者だけだと,話が複雑になりがち

一般論ですが,離婚の話とお金の話を同時にすると,どうしても人間は冷静になって話をできないのですね。
ここまで読むと,不安になられる方もいらっしゃるかもしれません。
情とお金の話を同時にするわけですから,切り出せば話ができるのか,どのタイミングで交渉をあきらめて法的手続きを取るべきなのか,その際の勝てる見込みがあるのかなど,確かに一人では判断に迷うことはたくさんあると思います。

そんなときこそ,弁護士にご相談ください。
法律の専門家の視点で,あなたたち夫婦の離婚原因の存否,慰謝料や財産分与の見込みなどを調査し,選択肢をお示しできます。そのうえで,弁護士が代理人として交渉を進めたり,もっとも適切なタイミングで法的手続きを取るなど,あなたの権利を守るために最善の手段をご提案いたします。

また,いきなり弁護士の名前を出さなくても,まずはご自身で協議を進めたい,相手と直接話をしたいという方も,いちどご相談ください。ご自身で行う際の交渉の注意事項や,進め方などを具体的にレクチャーいたします。どのくらいまで協議が進めば,どん約束を取り交わして離婚届を欠けばいいのかなど,実践的な方法をお伝えいたしますから,かならずお役にたてると思います。

当事務所では弁護士に依頼する場合や,自分での交渉をバックアップしてほしいという方向けに,用途に応じたサポートメニューを取り揃えております。

中高年の離婚の解決は,初動が肝心です。初回相談は無料ですから,いますぐ,当事務所にご相談ください。


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