土地の財産分与について
・財産分与と不動産の問題
離婚に伴い,婚姻中に築いた財産を清算します。これが財産分与です。
原則は,財産を2分の1に分けて互いが取得することになるので,預貯金であれば簡単ですが,土地を持っている方の離婚の場合は,注意をしなければならない点があります。
広い土地を持っている地主の方の場合や,投資用に土地を買ったという方など,土地をお持ちの方の財産分与について,いくつか問題点を解説していきます。
・土地の評価の問題
まず,土地をどう評価するか問題となります。現金や預貯金と違って,土地という不動産の価値は,評価の仕方次第でかなり上下変動します。
土地の評価については様々な考え方がありますが,一般的には,複数の不動産業者から無料の簡易査定書を取得して,その平均値とする方法などが考えられます。近隣の土地が売りに出されている場合などは,その売却希望価格を参考にすることもありますが,土地は広さやその立地の便利さによっても大きく価値に影響が出てきますから,単純に1坪当たりいくら,と決めることには,問題もあります。
実務的には,路線価を基準にして協議の前提にすることもあります。
こういった算定方法のうち,いずれの手法を採用するかという所でも争いになることがあり,もしどうしても合意ができなければ,不動産鑑定を実施することになりますが,鑑定費用自体が高額になる事もあり(少なくとも数十万円程度かかるものが多いように思います),考え物です。
・分割の方法
更地であるとか,駐車場にしているだけなので線を引けばいい,というような場合であれば,単純に土地を半分に分筆して,お互いが取得するという方法もあるでしょう。
しかし多くの場合,土地上に家が建っているとか,人に貸して賃料を得ているなど,物理的に分割しては土地の価値自体が亡くなってしまうというケースもあります。
このような場合には,この土地を取得するものが相手方に対して代償金を支払うという方法を取るのが一般的です。この場合は,土地にローンが残っていれば,代償金お計算にあたってはローンの負担分も計算に入れることになるでしょう。
・オーバーローンの場合
土地を買う際に,ローンを組むという事があります。
しかし,ローンの返済がまだ途中なのに離婚になって財産分与を考えるとなったとき,このローンの残りをだれが負担するかというのは,よく問題になります。
話し合いの可能性としては,土地を使いたいと希望する方が取得し,ローン分も残りを払い続けるという事がありますが,例えばローンは夫名義で結んでいるのに妻に土地を取得させるという場合,ローンの名義を夫から妻に変更できるかというのは,貸付を行っている銀行との調整が必要となるため,手続が難航する危険があります。(銀行はローンの審査を行うときに,名義人になる夫自身の収入や信用をもとに契約に臨みますので,借主の都合で名義人を変えたいと言っても,応じてもらえないことが多いです)
それでも協議が整わずに裁判所での解決となった場合,ローンの残額の方が土地自体よりも多い,いわゆるオーバーローンとなった場合には,これは,土地の価値自体はゼロであって清算すべき財産として扱わないという事もあるようです。
なお,オーバーローンの不動産が夫婦で共有状態である場合には,最終的には共有物の分割や競売(民法256条,258条)などの手続きで処理することになります。
・農地と財産分与
分与対象になる土地が農地の場合は,特に注意が必要です。
農地法という法律があり,農地は,自由に譲渡することができません。農業委員会の許可が必要となりますが,これは,農地を譲り受けるほうが農家であること等が条件となっています。農家でないものが農地を取得することによって日本の農業が安定すること,投機的な農地売買を防ぐことなどが目的だと言われている制度であり,夫から財産分与として農地を妻に渡そうとした場合,妻がこの農地を維持していくだけの能力や実績が無いと,いくら当事者で合意しても,農業委員会の許可が出ませんから,財産分与ができません。
ただしこれには例外があり,裁判や調停で,当該農地を財産分与することが定まったという場合には,農業委員会の許可なく所有権譲渡ができます(農地法3条)
本来は協議離婚で円満に解決するのが一番いい解決だと考えていますが,農地が関わるときだけは例外で,最初から調停や裁判離婚を目指さなければ,あとで登記できずに困るという事があります。都内には田畑は少なくなってきましたので,あまり普段触らない法律ですから,弁護士としてもうっかり忘れがちな規定なので,ここは要注意です。
・土地の財産分与なら専門家へ!
このように,土地を財産分与する場合,いくつもの注意点があります。
離婚を考えているが土地持ちの家なので揉めそう。離婚自体は合意できているのに,財産分与で歩み寄りが難しい。そんな方は,まず当事務所にご相談ください。離婚に向けてどういった点が紛争になりそうか,どのような点に注意すればスムーズに離婚に向けて動き出せるか,経験豊富な弁護士がアドバイスいたします。
初回相談は無料ですから,いますぐ,当事務所にご相談ください。
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