年収2,000万円以上の離婚
本記事は,年収が2000万円以上の高額所得者の方向け,離婚に役立つ情報です。さしずめエグゼクティブ向け離婚記事といったところです。
離婚問題は,誰にでも訪れる危険があります。必ずしもお金で解決できないのが家族関係ですが,同時に,必ずお金の話が出てくるのも家族関係です。
そこで,高額所得者の方が離婚を考えるとき,注意しなければならない点をお知らせします。
・婚姻費用の問題
離婚についてお悩みの方の中には,既に別居中である,というような方もいらっしゃるでしょう。いつも通り仕事を終えて家に帰ってみると,妻も子供の姿もなく,そのまま別居状態になった,という方もいらっしゃるでしょう。
あなたが復縁を望んでいるか,それとも離婚を前提に考えるかでとるべき対応が異なってきますが,どちらにしても問題になってくるのは,別居期間中に相手に渡すべき生活費,すなわち婚姻費用をどうするかという問題です。
夫婦には相互扶助義務があるため,相手方に収入が無ければその生活費を支払ってやらなければなりません。この理屈は,一方的に相手が出て行ったとか,別居の帰責性がどちらにあるという問題とは別の話として考えられます。そしてその額というのは相場があり,裁判所の定める一覧表が用いられ,扶養義務者(支払者)と相手方との収入の額,子供の年齢や数によって定まります。
たとえば15歳から19歳の子供が3人いて,扶養義務者の年収が2000万円,相手が無収入という場合には,ひと月の婚姻費用の額はおおむね42万円から44万円と言われています。
つまり,離婚の解決が長引けば長引くほど,別居している相手に渡さなければならない金額が高額になっていくという問題があります。
・財産分与の問題
高額所得者,セレブの方の離婚で避けて通れないのは,やはり財産分与です。
財産分与とは,夫婦の協力によって築き上げた財産を,離婚に際し清算するというもので,婚姻後に夫婦の協力で取得した財産がすべて含まれます。預貯金や現金はもちろんですが,不動産,証券やゴルフ会員権などもその対象となり,夫婦で共同事業をしている場合には営業用の財産も分与対象になってきますから,注意が必要です。
また,法人名義で自営業を営んでいるというような場合にも,「財産が法人名義だから夫(妻)の個人財産でない,だから分与しない」という理屈は,通りません。形式上は法人で活動しており,収益も法人名義になっている場合でも,実質的には個人経営だと見られれば,その資産を夫婦共有のものと評価して財産分与を認める例があります(札幌高決昭和44年1月10日)。また,夫の家業に妻が従事していたというケースで,通常の給与相当額を分与対象として認めたというような例もあります。
離婚協議に際しては,どのような財産が分与対象になり得るのかを見極めたうえで,交渉に臨むことが重要です。
・財産分与の割合をどう考えるか
財産分与の清算割合は,原則は2分の1と考えられています。これは,婚姻中に形成した財産への寄与や,妻の家事労働と夫の収入の評価などといった観点から,裁判実務に定着している考え方です。
ただし,常に財産の2分の1を分与しなければならないわけではなく,例外があります。すなわち,配偶者の一方の特別の努力や能力によって資産が形成された場合には,特別事情があるとして例外的処理をされるケースがあります。
裁判で争われた実例としては,夫が一部上場企業の代表取締役に就任しており,婚姻中に220億円の財を成したのですが,妻に対して分与が認められたのは10億円のみでした(東京地裁平成15年9月26日)。
また,夫が1年のうち半年から11か月程度の海上勤務という特殊な職業ゆえに多額の収入を得られたという事案で,財産分与の割合は約3割と認定された事案もあります(大阪高裁平成12年3月8日判決)。
財産分与の適正額がいくらかというのは,非常に難しい微妙な問題です。それだけに,どういった事情で相手の寄与分が低いのか,逆に自分の寄与分が高いのかと,説得的な事情を準備して理論武装しておくことが,交渉や裁判を有利に進めるコツです。
・不動産や株式の財産分与について
財産分与に関してもう一つ問題になるのは,その財産を,どう評価するかという問題です。
現金や預貯金であれば,額面は分かりやすいのですが,よく争いになるのは不動産や自動車,株式などといった,時価が変動しうる財産です。
これらは,基本的には離婚時点での時価で算定しますから,必ずしも購入価格でもって分与対象の財産と見積もることにはなりません。たとえば,20年前に買った3000万円の外車があっても,20年も乗り続ければ,そろそろ中古車としては価値も下がってくるでしょうから,時価(=残存価値)はゼロだ,というような考え方もあるでしょう。
ただし,アンティークや骨とう品といった,古くなればそれだけ価値が上がるというような財産の場合は,購入価格よりも高く評価するべきケースもあります。
専門業者の見積もりを取得するとか,同種品の市場価格を調査するなどして,財産分与の対象物の価値をどのくらいで見積もるべきか見極めることで,お金の問題についての認識の相違を埋めることができれば,離婚問題は早期解決が目指せます。
・結婚前から持っていた財産について
なかには,結婚したときにはもう社長だったとか,財産自体は親から相続したものだという方もあるでしょう。
会社が大きくなったのは独身時代のこと,結婚後はそんなに会社の業績は良くなかったのに,離婚するとなると会社の価値の半分を分与しないといけないのでしょうか?
いえ,そんなことはありません。結婚前から有していた財産や,結婚中に得た財産でも相続など結婚生活と関係ないところで得た財産については,分与対象にならないと考えられています。なので,結婚前からあった会社や,結婚後でも親から相続した会社財産などは,分与対象から控除します。
この点についても,正確な法律知識を前提にしないと,払わなくていいものまで払うという事になりかねませんから,注意が必要です。
・離婚と経営の問題を同時に考えること
会社経営者の方や,資産運用のために株式をお持ちの方ですと,離婚という家族の問題が,会社経営の問題に直結するケースがあります。
規模の大きい会社でも,会社の株式を夫婦で持ち合っているという場合や,株式を財産分与したりすると,今後の経営の主導権をどちらが持つのか,元夫婦間での争いがいつまでも続くことになってしまいます。
また,自分の経営している会社の,主要取引先が妻の実家の会社であるとか,妻の紹介などで作った人脈などある場合には,今後の取引を考えて,できるだけ円満な離婚を目指すのが得策になるでしょう。
このように離婚の問題を考えるときには,同時に,離婚後の問題も念頭に置く必要があります。
・当事務所にご依頼いただくメリット
会社経営や資産運用などの経験のあるエグゼクティブの方にとは,既に何人も弁護士を知っているとか,いざとなったら会社の顧問弁護士がいる,という方もいらっしゃるでしょう。
しかし,当事務所には,他にはない相談体制が整っています。
・地域一番の豊富な事件処理経験
当事務所ホームページで府中地域一番の解決事例をご紹介しているとおり,当事務所の弁護士は離婚問題の解決について多くの経験を有しています。
離婚問題なんてどの弁護士がやっても同じ,ではありません。今後の進め方をどう舵取りするか,落としどころをどう見極めるかという判断は,実は弁護士によって,相当個性が反映されます。
当事務所では,相談者さまとの綿密な打ちあわせの中で,「どういう解決方法が,この方にとってもっともハッピーなのか」を見極め,一日も早く新しい生活を歩みだせるよう,相談者に寄り添うことを旨としています。
・会社の問題も離婚の問題も詳しい弁護士
当事務所は,離婚問題についても豊富な経験を持っていますが,同時に会社経営の問題についても力を入れています。特に代表弁護士は,大学院時代から労働法を中心とした法律分野を研究しており,弁護士登録後も弁護士会活動を通じて最先端の労働問題を研究するなど,この分野に大きな自信を持っています。
従来,弁護士の職分というのは,企業分野と家事事件を含む一般民事分野とに大きく分かれており,会社の顧問弁護士さんや,ビジネスで知り合う弁護士さんというと,だいたいは企業法務を専門にしていて離婚問題は敬遠しがちという方もいらっしゃいました。
ですが,当事務所は,家庭の問題も職場の問題も,どちらの分野についても高い専門知識を有しています。
もし,会社の顧問弁護士さんがいるという経営者様も,家庭問題は会社とは別ですから,いちどだけでも当事務所にご相談いただければと思います。弁護士は守秘義務を負っていますので,当事務所に相談にお越しいただいたことが,顧問弁護士さんや他の方に知られることはありませんから,ご安心ください。
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